「退院後に介護保険を使うことになりました。お金がかかるし心配です。介護保険はどういう制度ですか?いくらお金がかかりますか?」
患者さんやご家族からそう相談されたとき、制度の仕組みをわかりやすく説明できますか?
日々の看護業務に追われていると、制度の詳細までは手が回らないことも多いですよね。
しかし、スムーズな退院支援や在宅移行には、私たち看護師が「介護保険への入り口」を案内することが重要です。
本記事では、教科書的な内容だけでなく、「現場で患者さんに説明するときに役立つ視点」で介護保険制度を解説します。
内容は以下の通りです。
- 介護保険はどんな制度?
- 覚えておきたい「自己負担割合」
- 運営主体は「市区町村」=窓口は役所
- 誰が使える?第1号・第2号被保険者の違い。
- 現場で遭遇しやすい「特定疾病」チェック
- まとめ
では、解説していきましょう!
1. 介護保険はどんな制度?
利用者に「介護保険って何?」と聞かれたら、こう答えましょう。
覚えておきたい「自己負担割合」
看護師として把握しておきたいのは、サービス利用時の自己負担です。
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原則:1割負担
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一定以上の所得がある場合:2割 または 3割

「収入によって1-3割の自己負担額となります。介護保険負担割合証に自己負担割合が書いてあります」と伝えると、トラブルを防げます。
金額を詳細に聞かれた場合は「ケアマネージャーさんに確認しておきます」とお答えし、ケアマネージャーに金額を確認しましょう。
2. 運営主体は「市区町村」=窓口は役所
介護保険の運営(保険者)は市区町村です。ここがポイントです。
※入院中の場合は、まず院内の医療ソーシャルワーカー(MSW)につなぐのが鉄則です。
3. 誰が使える?第1号・第2号被保険者の違い。
第1号と第2号は「年齢」と「原因」で分けられます。
| 区分 | 対象年齢 | サービスを使える条件 |
| 第1号 | 65歳以上 | 原因を問わず、介護・支援が必要と認定されたとき |
| 第2号 | 40〜64歳 | 特定疾病(16種類)が原因で介護・支援が必要と認定されたとき |
第1号被保険者(65歳以上)への指導ポイント
65歳以上であれば、認知症や寝たきりだけでなく、「加齢による筋力低下」などでも申請可能です。
「最近、親の足腰が弱ってきて…」という家族の声を聞いたら、地域包括支援センターへの相談を促すのもありですね
第2号被保険者(40〜64歳)のポイント
40歳以上65歳未満の方は、単に「介護が必要」なだけでは利用できません。
「特定疾病」に該当する必要があります。
現場で遭遇しやすい「特定疾病」チェック
16疾病すべてを暗記する必要はありません。現場で遭遇することが多いのは以下の疾患です。
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末期がん(医師が回復の見込みがないと判断したもの)
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脳血管疾患(脳梗塞・脳出血などの後遺症)
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関節リウマチ
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骨折を伴う骨粗鬆症
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初老期における認知症
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パーキンソン病関連疾患
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脊柱管狭窄症
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閉塞性動脈硬化症
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COPD(慢性閉塞性肺疾患) など
「交通事故による障害」などは対象外(障害福祉サービスの管轄)となるため、若い患者さんの退院調整時は注意が必要です。
まとめ
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介護保険は「支え合い」の制度で、運営は市区町村。
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65歳以上は原因問わず利用可能。
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40〜64歳は「がん末期」や「脳卒中」など特定疾病のみ対象。