訪問(在宅)看護

【看護師向け】患者さんに聞かれても焦らない!介護保険の仕組みと説明ポイント

2025年11月5日

「退院後に介護保険を使うことになりました。お金がかかるし心配です。介護保険はどういう制度ですか?いくらお金がかかりますか?」

患者さんやご家族からそう相談されたとき、制度の仕組みをわかりやすく説明できますか?

日々の看護業務に追われていると、制度の詳細までは手が回らないことも多いですよね。

しかし、スムーズな退院支援や在宅移行には、私たち看護師が「介護保険への入り口」を案内することが重要です。

本記事では、教科書的な内容だけでなく、「現場で患者さんに説明するときに役立つ視点」で介護保険制度を解説します。

内容は以下の通りです。

  1. 介護保険はどんな制度?
  2. 覚えておきたい「自己負担割合」
  3. 運営主体は「市区町村」=窓口は役所
  4.  誰が使える?第1号・第2号被保険者の違い。
  5. 現場で遭遇しやすい「特定疾病」チェック
  6. まとめ

では、解説していきましょう!

1. 介護保険はどんな制度?

利用者に「介護保険って何?」と聞かれたら、こう答えましょう。

さとの
さとの
保険料をみんなで出し合って、介護が必要になった人の費用の負担を軽くする仕組みです。財源の半分は税金、もう半分は40歳以上の方が支払う保険料で成り立っています。

覚えておきたい「自己負担割合」

 

看護師として把握しておきたいのは、サービス利用時の自己負担です。

  • 原則:1割負担

  • 一定以上の所得がある場合:2割 または 3割

「収入によって1-3割の自己負担額となります。介護保険負担割合証に自己負担割合が書いてあります」と伝えると、トラブルを防げます。

金額を詳細に聞かれた場合は「ケアマネージャーさんに確認しておきます」とお答えし、ケアマネージャーに金額を確認しましょう。

ちえさん
ちえさん
お金はトラブルの元なので、間違っても適当な金額を伝えないでください。

2. 運営主体は「市区町村」=窓口は役所

介護保険の運営(保険者)は市区町村です。ここがポイントです。

さとの
さとの
「申請どこですればいいの?」と聞かれたら、住民票のある「市区町村の役所(介護保険課)」や「地域包括支援センター」をご案内しましょう。

※入院中の場合は、まず院内の医療ソーシャルワーカー(MSW)につなぐのが鉄則です。

3. 誰が使える?第1号・第2号被保険者の違い。

第1号と第2号は「年齢」と「原因」で分けられます。

区分 対象年齢 サービスを使える条件
第1号 65歳以上 原因を問わず、介護・支援が必要と認定されたとき
第2号 40〜64歳 特定疾病(16種類)が原因で介護・支援が必要と認定されたとき

第1号被保険者(65歳以上)への指導ポイント

65歳以上であれば、認知症や寝たきりだけでなく、「加齢による筋力低下」などでも申請可能です。

「最近、親の足腰が弱ってきて…」という家族の声を聞いたら、地域包括支援センターへの相談を促すのもありですね

第2号被保険者(40〜64歳)のポイント

40歳以上65歳未満の方は、単に「介護が必要」なだけでは利用できません。

「特定疾病」に該当する必要があります。

現場で遭遇しやすい「特定疾病」チェック

16疾病すべてを暗記する必要はありません。現場で遭遇することが多いのは以下の疾患です。

  • 末期がん(医師が回復の見込みがないと判断したもの)

  • 脳血管疾患(脳梗塞・脳出血などの後遺症)

  • 関節リウマチ

  • 骨折を伴う骨粗鬆症

  • 初老期における認知症

  • パーキンソン病関連疾患

  • 脊柱管狭窄症

  • 閉塞性動脈硬化症

  • COPD(慢性閉塞性肺疾患) など

「交通事故による障害」などは対象外(障害福祉サービスの管轄)となるため、若い患者さんの退院調整時は注意が必要です。

まとめ

  • 介護保険は「支え合い」の制度で、運営は市区町村。

  • 65歳以上は原因問わず利用可能。

  • 40〜64歳は「がん末期」や「脳卒中」など特定疾病のみ対象。

さとの
さとの
介護保険って何?と現場で聞かれることは多々あります。スムーズに解答できると、利用者の安心感となります。ぜひ、本記事をお役立てください!

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